甲状腺機能検査について
甲状腺は首の前面にある蝶々のような形をした臓器です。甲状腺ホルモンという物質を生成、血液中に分泌していて、この甲状腺ホルモンは体の代謝を司る大事な物質です。
甲状腺ホルモンが足りなくなっても多すぎても体の不調をきたしますが、その症状は多岐にわたるため、症状のみで甲状腺の病気かどうかは判断できません。
血液中の甲状腺ホルモンの数値を測定することによってある程度診断をつけることができますが、当院では院内で測定することができるため、早ければ30分ほどで結果をご説明できます。
甲状腺ホルモンにも種類があります。よく一般的に測定され、診断に利用される甲状腺ホルモンはT3、T4、TSHでしょうか。
T3(実際に測定するのは血液中に遊離しているFreeT3)は甲状腺ホルモンのなかでも活性が高く、症状に直結しやすいですが、変動も大きく、この数値だけでは判断が難しいため、後述のT4と一緒に判定することが多いです。
T4(実際に測定するのは血液中に遊離しているFreeT4)はT3に比べるとそのもの自体は活性が低いのですが、安定しており、体内で必要に応じてT3に変換されるため、緩衝材的な役割を担っています。また、上記のため、薬剤としても投与しやすく、甲状腺ホルモン剤としてはT3由来の製剤よりもT4由来の製剤の方が一般的です。
TSHは甲状腺ホルモンではありませんが、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンのことで、甲状腺がうまく働いているかどうかを示す指標となります。T3やT4が足りないと上昇し、多すぎると低下する逆の動きをしますが、長期間の治療効果を測るにはとても良い指標です。
病気ごとにそれぞれの値が妥当な範囲に収まっているかを判断して治療していきます。
稀な場合を除き、血液検査で上記の数値が正常範囲内であれば甲状腺の病気の可能性は低くなりますので、症状からバセドウ病や橋本病などの甲状腺の病気が疑われる場合にはまず血液検査を実施しています。
ただ、残念ながら甲状腺がんの場合には上記の数値が変動しないことも多いため、がんの検査としてはエコー検査が必要になります。
エコー検査は予約制ですが、当院でも実施できますのでご相談ください。