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甲状腺

甲状腺機能検査について

甲状腺は、首の前面にある蝶のような形をした臓器です。
甲状腺ホルモンという物質を生成し、血液中に分泌しています。この甲状腺ホルモンは、体の代謝を司る大切な物質です。

甲状腺ホルモンが不足しても、多すぎても体の不調を引き起こします。しかし、その症状は多岐にわたるため、症状だけで甲状腺の病気かどうかを判断することはできません。

血液中の甲状腺ホルモンの数値を測定することで、ある程度の診断が可能です。
当院では院内で測定できるため、早ければ30分ほどで結果をご説明できます。

よく測定される3つの項目

甲状腺ホルモンにもいくつか種類があります。一般的に測定され、診断に利用されるのは T3、T4、TSH です。

  • T3
    T3(実際に測定するのは血液中に遊離している Free T3)は、甲状腺ホルモンの中でも活性が高く、症状に直結しやすいホルモンです。変動も大きいため、この数値だけでは判断が難しく、後述するT4と併せて判定することが多いです。
  • T4
    T4(実際に測定するのは血液中に遊離している Free T4)は、T3に比べると活性は低いですが、数値が安定しており、体内で必要に応じてT3に変換されます。このため、緩衝材的な役割を担っています。また、薬剤としても投与しやすく、甲状腺ホルモン剤はT3由来よりもT4由来の製剤が一般的です。
  • TSH(甲状腺刺激ホルモン)
    TSHは甲状腺ホルモンではなく、脳下垂体から分泌される「甲状腺刺激ホルモン」のことです。甲状腺が正常に機能しているかを示す重要な指標で、T3やT4が不足すると上昇し、過剰になると低下するという逆の動きをします。長期的な治療効果を判断するうえで非常に有用です。

治療の進め方

治療は、病気ごとにこれらの値が適正な範囲に収まるように調整しながら進めます。

稀な場合を除き、血液検査で上記の数値が正常範囲内であれば、甲状腺の病気である可能性は低くなります。
症状からバセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患が疑われる場合には、まず血液検査を行います。

ただし、甲状腺がんの場合は、これらの数値が変動しないことも多いため、がんの診断にはエコー検査が必要です。

エコー検査は予約制ですが、当院でも実施できます。お気軽にご相談ください。

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