甲状腺の異常について
甲状腺の役割
甲状腺は以前のコラムでも書きましたが、甲状腺ホルモンという物質を作っている臓器です。ホルモンというのは血液中に分泌されて臓器にさまざまな作用をもたらす物質の総称ですが、甲状腺ホルモンの作用としては簡単にいうと体の代謝を上げる作用です。心臓に作用して脈拍や血圧を上げたり、消化管の運動を促進したり、いろいろな作用があります。
そのため、この甲状腺に異常がおきるときにはどのような異常かによって出現する症状が異なるわけです。
甲状腺機能亢進症(代表的な疾患:バセドウ病)
甲状腺ホルモンが必要もないのにたくさん作られてしまうと代謝が勝手に促進されてしまいます。エネルギーは次々と消費されてしまうので食べても食べても太りません。そう聞くとよいイメージと誤解されてしまうかもしれませんが、もちろん、それ以外に脈拍が増えて頻脈、心臓に負担がかかって心不全になってしまったりしますので異常事態です。体温調節としては他の人が気にならないような快適な気温・室温でもとても暑くて汗がたくさん出たりします。情緒不安定、不眠になったり、下痢する人もいます。これらの症状は個人差があり全てが出るとは限りません。
甲状腺機能低下症(代表的な疾患:橋本病)
甲状腺ホルモンが逆に不足している病態です。代謝が上がらないのでエネルギーをうまく使うことができず冷え性や浮腫、便秘などの症状が生じます。その程度で済んでしまって診断されていない場合もありますが、まれに重症化した場合は昏睡にいたることがあり、決して放っておいていいわけではありません。
甲状腺の癌
甲状腺ホルモンに異常がなくても癌ができることもあります。甲状腺癌はいくつか種類がありますが、無症状のことも多く、甲状腺が腫れている場合は血液検査だけでなく、超音波検査を実施しておくことで早期発見できます。
当院ではそれぞれの病態に合わせて診察・検査を実施しておりますので、甲状腺の病気が気になるようでしたら遠慮なくご相談ください。